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タイプライターに恋して【その1】

4/30/2022

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「タイプライター打てますか?」
何がきっかけだったか、タイプライターの話になった。アンティーク屋の店主に聞かれて「打てますよ〜」と返事したあの日から、タイプライターがわたしの脳内を占拠している。

40数年前、高校生のわたしは、3人の外国人と文通をしていた。インドから届く手紙は、いつもタイプライターで書かれていた。わたしも真似したくなり、父にねだってタイプライターを買ってもらった。Brotherの製品だったと思う。
タイプライターの存在などすっかり忘れていた10年前、息子が大学の寮に入るとき、寮のゴミ捨て場でOlivetti社のタイプライターを見つけた。タイプライターを知らない息子に「飾っておくだけでも絵になるよ」と、寮の部屋に運ばせた。
時は過ぎ、その存在も忘却の彼方へ。

「そういえばゴミ置き場で拾ったタイプライターはどうなった?」
息子に確認すると、「捨てたかもしれないしあるかもしれない」。当てにならないあやふやな返答。

タイプライター病に罹ってしまったわたし。今でもインクリボンを購入できることがわかり、取り憑かれたようにタイプライター探しを始めた。
ネットで検索すると、中古のタイプライターはいっぱい出てくる。値段はピンキリ。
恋い焦がれていても、高い値段で買う気はない。安値で出品されているものは、「動作未確認」がほとんど。オブジェとして格好よくても、使えないものを買う気もない。

ネットサーフィンを続け、SILVER REEDタイプライターに決めた。送料含め3,200円。
「動作未確認、ディスプレイなどに」と書かれていたが、出品者とのやりとりで、印字可能であることを確認できたことが決め手になった。大学生のとき父にねだって買ってもらったミシンと同じブランドで、愛着を感じたし、ブラックのボディも気に入って。
​
実物を触るまでは不安だったけど、状態は予想していたよりかなりよかった。タイプも印字も問題ない。
カシャカシャカシャカシャという音と共に活字のハンマーがリボンを叩き、文字が打ち出される。マージンを教える「チーン!」という明るい響き。別世界に入り込んだような気分。
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昨日、説明書のコピーを取りよせて、操作方法を確認した。把握していなかった機能を知り、いろいろと使い勝手を考えて設計されていることがわかると、「ガリ版印刷機」を手に入れたときと同じ感動がよみがえった。

「古いものが好きだよね〜」と息子。機器のソフト面よりハード面の気配り設計に惹かれる。「頭脳」ではなく「人の技術」を感じられるものに弱いのだ。
​そして使用説明書の、英文を訳したような、それでいて心にぐっとくる文章もいい。思わず声を出して読み上げたほど。
​
​「この新しいポータブルタイプライターはきっとあなたに満足していただけるものと思います。このタイプライターは、常にあなたが希望されている高い水準のもとにつくられていて、経験豊かなタイピストの方も、あるいは初心者の方にも、長い間充分な機能とすばらしい操作でご使用いただけるよう設計されています。あなたの新しいタイプライターを有効にお使いいただくために、この使用説明書を注意深くお読みください。この新しいタイプライターを使ってのお仕事は、きっと労力と時間の節減となってあなたに大きな喜びと余暇をお約束するでしょう。」

「労力と時間の節約」を追求してテクノロジーは進歩してきたけれど、労力と時間をかけることで生まれる喜びがあることを、タイプライターは教えてくれる。

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    ぐるりのかかわりをシンプルに、ひっそり世界とつながりながら暮らしたい。
    模索する日々のできごと、胸のうちを気の向くままに。
    タイトルの「手考足迷」は河井寛次郎の「手考足思」に敬意を表して。

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