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あれから10年…

3/11/2021

 
10年前の3月11日14時46分、わたしは長男と自転車で市内を走っていた。
 卒業式を控えた長男のスーツを買うためだった。何とかスーツは買えたけど、三陸は大変なことになっていた。巨大地震による大津波と原発事故。テレビの映像は想像を絶するものだった。映画のシーンを見ているような感覚になり、現実感が伴わなかった。
 卒業式は挙行されたが、直前に「平服での参加」と通達があり、新品のスーツはお蔵入りに。その日は、「福島原発二号機の原子炉格納容器が破損、大量の放射能が東京に飛散」というニュースが流れ、卒業の喜びより不安のほうが大きかった。
 
 それから3週間、わたしは家に引きこもり、テレビとパソコンの画面に張りついていた。テレビ報道や政府コメントに不信感を持ち始め、インターネットから報道できない事実や海外の報道をこまめにチェックした。日を追うごとに、怒りや悲しみや心配や祈りが膨らんで、こころが疲弊した。この繰り返しで、からだは凝り固まって、手足がむくんでしまった。

 わたしたちは未曾有の大震災と原発事故から何を学び、何を改善したのだろう。ずっしり重たい年月を振り返り、肩を落とした。事故後、ドイツは脱原発に舵を切ったが、当事国の日本は、原発の再稼働を推進している。汚染水は溜まる一方だし、廃炉は問題だらけ。家はあるけど住めない帰還困難区域は取り残されたままだ。
 それなのに「復興オリンピック」が始まろうとしている。
 放射能の恐怖にさらされたあのときから、ウイルスの不安がはびこる現在まで、日本は変わろうとしなかった。目に見えない脅威が降り注ぐなか、不利な情報は隠蔽され、利権が幅を利かせ、国は弱者を救おうとしない。
 社会だけの問題じゃない。あのときわたしは、ありきたりの日々に感謝し、節電を心がけて小さく暮らそうと誓った。その思いは「時間」という怪物にのまれ、消えそうになっていた。

 ひとは易きに流れてしまう。これからの10年は、落としものを探しながら来た道をたどるように、「ゆっくり」暮らそう。忘れてはいけないことをいつでも思い出せるように。

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    grulian's journal

    ぐるりのかかわりをシンプルに、ひっそり世界とつながりながら暮らしたい。
    模索する日々のできごと、胸のうちを気の向くままに。
    タイトルの「手考足迷」は河井寛次郎の「手考足思」に敬意を表して。

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